何も考えずに乗れ！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　

　青チームと同着と言うことで、合流することにしました。

　改札抜けたところで待ち合わせ。

　彼らは前回参加者な上、3人チーム。そして三十路が２人。
　目的駅が変更になった後も、持つ知識をフルに生かして次の道筋を決めていました。

　対して、さっぱりと千葉の路線など分からない私。
　くっついて行くことにしました。コバンザメモードです。

　目的駅は南浦和。位置的に、我々が一番遠い箇所にいます。かなり不利。
　ならば彼らにくっつき、最短で距離を縮めるしかあるまい！
　
　それでは早速、サイコロドロー！

　早く移動しなければあの耳が降って来るのだ、急がねば！！
　と思いながらも、青チームとワイワイ雑談しながら移動していました。
　
　京葉線を用い、南船橋から南浦和へと狙っていくルート。

　　愚かな僕を撃て！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　

　電車を乗り間違えた。

　京葉線は快速ばかりで、各駅停車が少ない。
　目的とする新習志野駅に向かうには、一旦快速で降りて各駅…だったのだが。
　降りるべきは検見川浜駅ではなく、次の海浜幕張駅だった。
　
　青チームと一緒に降り、電車待ちと言う切ない状態に。
　仕方がないので、彼らを見学することとした。
　
　引いたカードは、

　
　ウヒョヒョー！！　苦しむがいい！　たっぷりと苦しむがいい！！
　
　と内心では思いながら、ツンデレの私。
　「工具なんてどこで買うんだよー」とのたうつ彼らに、
　「だ、ダイソーで買えばいいじゃない！」とデレってしまった。
　
　三人は相変わらずのチームワークで周辺地図を検索。ダイソー、駅から1.1km先。
　改札を抜ける彼らを遠目から見送りました。

　二度と帰ってくるなよー。

青チームの後姿

　　飲物なんてあるのかな　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　

　検見川浜でのんびりしていたら、GMイベントが発令された。
　
　GMイベントとは、決められた時間にGMの独断と偏見で考えたイベントを実行するというもの。
　主催である私にすら一切伝えられていない、恐ろしいイベントなのです。

　ひぎぃ。
　
　サイコロドロー。

　偶数。ネコミミつけてビーフジャーキーを食べる事にします。くっ！

　ホームで食うのが耐えられなかったので、駅前に出たら、あの青チームがいました。
　ダイソーで工具を買って帰ってきたらGMイベントの洗礼にあったとの事。
　彼らもダイスは偶数だったようで、一緒にネコミミつけて食べる事にしました。
　
　『うっうー！　いい年した男二人が駅前でネコミミつけてますぅー！！』
　
　女子高生の集団が近くを歩き、そんな視線を浴びながらもハイペースで干し肉を食う。
　しょっぱい。これすっごくしょっぱいよ母さん。お酒が飲みたいよ。
　
　ああもう穴掘って埋まりたい。視線が。視線が。
　
　
　咀嚼を終え、青チームとホームに戻り、サイコロドロー。

　青チームも同じダイスを出しました。
　まだまだこのいい年した人たちと一緒の旅を続けます。あふぅ。

　　私も人間だから　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　

　電車を乗り間違えた。

　またである。青チームとの雑談に夢中になっていたら、駅を乗り過ごしていた。
　駄目駄目である。非常に駄目駄目である。
　
　あかん。これは非常にあかんのですよ。
　初期位置の時点で不利だったというのに、更にこんな足止めをしてるのはマズい。
　他チームは既に、南浦和にかなり接近している。
　
　そして私と青チームは現在最下位位置。
　逆に言えば、青チームを落とせば最下位は脱出できる。
　
　
　……悟られてはいけない。
　こんな黒いことを考えていることは悟られてはいけない。
　ICレコーダーには録音するが。
　
　
　電車が来るまでの数十分。
　和気藹々と話しながら、"どうにかしてこいつらの先にいかねば"と思考する、
　実にダークな4名である。

　　もう逢えない気がして　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　

　やっとついた。
　これで二回戦にして、初めてのカードが引ける。
　
　先に青チームがサイコロを振る。

　これは引き離すチャンス！！
　
　次の電車は十数分後。
　それなりのタイムロスだが、それ以上にお茶で正座が辛かろう！
　
　さぁ、チャンスだ！
　ここで一発、移動系なんぞが出てくれる事を祈る！
　変なカード出るなよ！？　高難易度のカードは出るなよ！？
　

　　== Ueshima System Starting...==
　

　
　ガッデム。
　
　このカードは前回で唯一達成できなかったカードだ。
　単純にして凶悪。無ければ延々とさ迷い歩かねばならない…！

　　青チーム　「電車来る前に見つければ次も一緒ですよｗｗｗｗ」

　チクショー！　後で生暖かい蒟蒻を投げつけてやる！！
　
　

　小走りで駅の外に出る。
　
　蝉が鳴いている。
　直射日光が踊っている。

　暑い。

　人はまばらだが、駅前からいきなり住宅街な雰囲気。
　それでも探さねばなるまい！
　
　携帯のGPS、始動！
　こちとら仕事で携帯のGPS作ったわい！　プロをなめたらあか

　
　
　十数分歩き回りましたが、ありませんでした。
　
　

　駅のホームに戻る。
　
　　青チーム　「早かったですねー。見つかったんですか？」
　　
　　吉村　「…………」

　サイコロを振る。

　　
　
　吉村　「２マス戻りまーす♪」
　
　青チーム　「ちょｗｗｗｗ」
　
　
　さらばだ、戦友よ！

　　画面の女房の持ち歌だ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　

　嗚呼……。

　ため息しか出ない。
　私は２駅戻り、青チームは6駅進んだ。
　
　致命傷だ。
　
　嗚呼……。
　
　南船橋、人多い。
　空を見ると、あの雲がネコミミに見える。
　
　嗚呼……。ｓ

　カードドｒ
　　

　
　神よ。私に死ねとおっしゃりますか。
　
　生を受けて25年。それなりに全うに生きてまいりました。
　それでも私に死ねとおっしゃりますか。
　
　死んでやるー！！　もう社会的に死んでやるー！！！
　
　
　改札を抜け、駅前に来た。
　歌う為に。
　
　目の前に、ららぽーとがある。
　家族連れが一杯通ってる。
　空が青い。

　嗚呼……。


　少し道をはずれ、多少静かな所に移動。
　バックから用意してきた歌詞カードを取り出す。
　
　本当にやるのか？
　私の場合、ここで歌うだけではない。
　この録音した音は、後でラジオ放映により、全国に……


　……嗚呼、嗚呼！！
　

　眼球開いてとくと見よ！　耳掃除しながら聞いてみよ！！
　
　吉村麻之！　25歳独身システムエンジニア！！
　
　男を！　男を見せてやらぁ！！
　
　　

　　吉村　「それではお聞き下さい。アイドルマスターで、"Do-dai"です」


　
　
　致命的選曲ミス。
　


　
　　吉村　「♪ほんじつはっ、みんなに〜♪　私のとっておきのこ〜いば〜なを〜♪
　　　　　　　きぃ〜かせて、あげちゃうぜぇ〜♪」
　

　死にたい。
　もう恥ずかしいとかそういう事を全て飛び越えて、死にたい。
　今この瞬間だけ三途の川を渡っていたい。
　首とか曲がっちゃいけない方向に曲がってていい。
　

　　吉村　「♪準備はー♪　かんっぺきー♪　おやっすみー♪　ぜんぜーんねむれーん♪」
　

　うわーいちょっぴりたのしなってき
　やめて通りすがりのおばあちゃん(自転車搭載型)ふしぎそうに僕を見ないで
　
　
　約３分間後。
　

　　吉村　「♪と〜にか〜くだいせいこうっ♪　ぶいっ♪
　　　　　　　　と〜にか〜くだいせいこうっ♪　ぶいぶいっ♪
　　　　　　　　……こーいばーなおーわり……いえい……（トーンダウン）」
　
　

　…………。
　

　ぶいぶいっ♪
　
　
　

　…………。

　
　……。

　　私の悪夢は現実です　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　

　ぶいぶいっ♪（手首斬）
　

　市川駅に到着しましたー、いえいっ♪
　
　死にたい。思い出すだけで血を抜かれたい。
　
　
　船橋で乗り換えて、東京方面に向かいます。
　南浦和はあきらめて、少しでも近づいておこうと思うわけで……。
　でもまぁ、僕の最下位はほぼ決定事項で……。
　
　……ああ、勝手にテンションが下がっていく。
　
　
　カードドロー。

　き、きたぁぁぁぁぁぁーーーーっ！！！！
　

　大逆転！　大逆転ですよプロデューサーさぁぁぁん！！！
　
　この市川に戻すチームはー！！
　

　　
　青チーム！　あの三十路どもめ！！　ヒィヒィ言わせてやるわ！
　
　ＨＡＨＡＨＡ！　ＨＡＨＡＨＡＨＡーー！！
　
　逆転！　逆転！　逆転だよなるほどｋ
　
　
　　

　
　
　
　あれ？
　
　
　

　
　
　あ。
　
　
　　　

　
　
　うん。
　
　

　　ネコミミは桃チームです。
　　ネコミミは桃チームです。
　　ネコミミは桃チームです。
　　ネコミミは桃チームです。
　
　
　
　装　着　。
　
　

　説明しよう！

　吉村麻之はネコミミをかぶる事によって、

　通常の20倍の視線集中効果、50倍の職務質問率、そして1000倍の羞恥を得るのだ！
　

　
　　吉村 「全国の発育のいい女子中学生は、俺が守る！」 ｶﾞｷｭｰﾝ!
　
　





　
　……こんな妄想に逃げたい。それほどに辛い。
　

　上着を脱いだ。
　
　オリジナルＴシャツよ。「私たちは紳士です」の余計な説明よ。

　俺を導いてくれ。
　この酷い世界をたった２行で説明してくれ。
　

　感慨に耽る暇も無く、電車が来る。速攻でダイスを振らねば！
　
　　

　
　最下位。そして、ネコミミとの再会。
　
　ここからだ。きっとここからが私の本番なんだ。
　これより反撃を、再開する。
　　　

　
　泣かす。絶対泣かす。主に青チーム泣かす。

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