むきりょくかん。>Y.E.T. 吉村電鉄交通社 2nd Assault 千葉密林地帯素人銃撃戦ツアー
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Y.E.T.2nd  Report by Mayuki Yoshimura

   

  

 五月三十一日 午前五時。
 
 運営としては、本日を迎えた時点で仕事は八割以上終わっているようなものだ。
 そんな事を思いながら、雨空を眺める。やっぱり降ってしまった。

 雨天決行を一時は考えたものだが、
 集まるメンバーは皆、雨天上等という変態だらけで助かった。

 さて、早速着替えよう。
 今日はサバイバルゲーム。しかも密林地帯で、雨。泥まみれになるかもしれない。

 よし。

 ビジネススーツにしよう。

  

 紳士たるもの、人と会うのにノーネクタイなど有り得まい!
 主催たるもの、出オチは取らなければなるまい!

  

  しぐ子近影

 家から出れば、カバンが重い。超重い。肩が外れそうに重い。
 自分の銃(SIG 552 通称しぐ子)と着替えと、イベント用のアイテムがぎっしりだ。
 泣きそうになりながら、駅へと歩いていく。休憩を一度挟んだ。

  

  千葉モノレール駅。

 千葉駅でのモノレール乗り換えに迷う。

 携帯電話は30名の参加者からのメールが飛び交い、一時間で50通を超えた。
 外は雨でも、我々には祭りの日なのだ。

 フィールド最寄の駅にて、智蔵さんと遭遇したので一緒にタクシーで向かう事になった。
 参加賞であるドッグタグな話をしていたとか、していないとか。

   


 五月三十一日 午前十時
  

  男達。

 
 倉庫。

 それが第一印象の、サバイバルゲームフィールドSPLASHには、既に男が数人が集まっていた。
 言うまでもなくスーツ姿は自分だけだ。リアクションに心の中でガッツポーズ。

 「社長社長ー」

 と呼ばれるのも慣れたものだ。

 別名、筋肉氏が無駄にカッコイイサングラスを持ってきたので装着。
 スーツにサングラスに銃。実に絵になる。

 「社長かっこいいー!」とか言われ、
 ついついポーズを取った様を写真に収められたなんてことはない。

  なんてことはない。

  

 そんなこんなで他のメンバーが着替えたり己の銃を整える中、
 自分が握るのはメンバーリストとボールペン。

 出席確認し、昨日の夜に即興で作った名札をやってくる男に渡していく。実に運営業だ。

 しかし、前のリアル桃鉄でもそうだったが、
 全員ほぼ初見だというのに皆打ち解けすぎだと思う。

 野郎に抱きしめられたり、おみやげを頂いたり、本にサインを書きながら、出席確認である。
 その間、兄者氏ことお兄ちゃんは車で駅に来た人をピストン送迎だ。
 お兄ちゃんになら、唇を奪われてもいい。

   

 

 大まかに揃ってきた頃、SPLASHの方々によるレンタル銃の使用説明。
 自分はしぐ子を持っているのだが、面白そうなので借りてみた。

 

 レンタル銃やフィールド代の清算の合間に、着替え。
 スーツで来る馬鹿であるが、フィールドにまでスーツで行くつもりは無いのだ。
 ジャケットはレンタル。
 アメ横で買った迷彩ズボンと帽子を装着すると、
 己のアイデンティティが失われた気がしたのは気のせいだと思いたい。

 

 フィールドのセフティエリアへ移動する。容赦のない密林に、思わず頬が緩む。
 不思議だが、迷彩服に身を包むと、案外雨は気にならないものだ。
 皆がワクワクしている様が空気に伝播し、自分もどんどんテンションが上がっていく。

  

 「それでは! 我が社が企画致しました、
  千葉密林地帯銃撃戦ツアーを開始したいと思います!」

  

 拍手と男共の「ワー」な声。祭りの始まりなのだ。

 「……えーと、予定の時刻を一時間ほど超過しておりますが」

 そう、細かい事は気にしてはいけないのだ。あとは教官にお任せする!

 
 教官のどきどきレッスン中。

  

  

  


 

 私の独断で適当にチーム分けし、初陣はチュートリアル戦。
 好きなように敵を撃ち、死んだらすぐ復活なルールだ。

 敵味方分け用のマーキングテープを腕に巻き、いざ戦場へ。
 我が赤チーム15名はフラッグに集まり、初陣にワクワクしていた。

 この時の作戦は一つ。

 「各自、好きなように戦い、好きなように死んでくれ。以上!」

 開始の合図は相手チームと携帯電話で行う。
 連絡が付いた後、相手チームに伝わるように全力の大声で。

 「戦闘ぉぉぉーー!!!!!
  開始ぃぃぃぃぃーーーーー!!!!」

 「「「うぉぉぉぉぉぉぉーーー!!!!」」」

  

 もう自分、死んでもいいわ。

  

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 人にくっついていくようにして密林を歩いていく。

 ここがどんな構造なのかも全く把握出来ていない以上、適当に歩くしかない。
 物真似っぽく前かがみで歩いていく。

 お、何コレ。これがタワーなのかな?

 吉村 「ヒットー!!!」

 どこからか撃たれ、撤退。エアガン痛い。

 吉村 「死体通りまーす。死体でーす」

 味方 「社長早いっすね」

 チクショー!

  

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 フラッグにタッチし、再度出撃。

 さぁ、今度はどこにいる? このしぐ子は血に飢えているぞウヒョヒョー!!

 ええい面倒だ、全力前進! 突撃あるのみぃぃー!!

 吉村 「ヒットー!!!」

  

 教官。敵が見えません。どこから撃たれたのかも分かりません。

  

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 再出撃。もう少し慎重に行こう。ルートも変更。

 竹薮やバリケードに隠れながらのんびり歩くと兵士……マーキング黄色、敵発見!

 敵兵 「ヒットー!!!」

 吉村 「こっちもヒットー!!!」

  

 相撃ちでした。

  

 どうやら相手はエリア中央のタワーを占拠していたらしい。
 恐ろしい防衛拠点に、我が軍は死体を積み重ねる一方だった。

 戦績を見直せば、ひどい状態だ。
 黄色チームでは、岡崎氏の9撃破、DS氏の8撃破という恐ろしい結果が。

 突撃よくない。

  


 

 今度はフラッグアタック。相手陣地のフラッグに触れば勝ちとなる。

 チームは変更していない。これは先程のリベンジなのだ!

 なお、死んだ味方を回復するメディックはウサミミ装着だ。
 迷彩服にウサミミ&ランチボックス(メディカルボックス)という組み合わせは相当えぐい。

 前回の教訓を生かし、今度はしっかりと作戦を立てるようだ。皆の論議が色々出てくる。
 あまり私が口を出すのもアレなので、のんびりと見つめていた。
 

 味方 「それじゃ、拠点防御に3人くらい。誰かやりたい人……」

 吉村 「はーい」

 味方 「社長っすか!?」


 ネタキャラは攻めるべきという法は無いのだ。
 あえて露出が少ない防御に回ってみるのも楽しかろう!

 味方 「それじゃ社長、フラッグを中心に十字砲火でいきましょうか」

 吉村「イイネ!!」

 攻撃は他の連中に任せた。男は黙って壁になれ。

 電話が鳴る。大きく息を吸う。

 「全軍っっっっ!!!!
  突撃ぃぃぃぃぃーーーー!!!!」

 「「「うぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!」」」


 と、叫んだ後、のそのそと竹薮にもぐりこむ。尖った竹がちくちく刺さるが、気にせずしゃがむ。

 迷彩服はどれだけ効果があるのやら。そんな事を思いながら銃を構えて敵を待つ。

  

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 フラッグ前にはショットガン装備の兵士がうろうろしている。誤射しちゃいそうで怖い。
 遠くからは銃声。時折、メディックを呼ぶ声や、ヒットコールが聞こえる。

 前線の兵士を案ずる余裕もなく、
 いつ敵兵士がここまでやってくるか、ドキドキしながら待っていた。

 その時。射線上の茂みが僅かに動く。

 同時に、敵兵士が一直線にフラッグへと走り出した!

 吉村 「(だが、甘いぃぃっ!!!)」

 たった5mの距離でも、それは私の射線範囲! 唸れしぐ子!!

 敵兵 「ヒットー!! あー! そこにいたのかぁぁぁ……」

 フラッグまで走り抜けた兵士は、がっくりとヒットコールを告げた。撃破1である。

 吉村 「はっはっは、撃ち取ったぞよー」

 敵兵 「って! 何で社長がここにいるんだよ!?」

  

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 更に5分。
 射線上の茂みに、こちらを伺う人影を目視。

 発射!

 敵兵 「ヒットー!!」

 フラッグに近づくことすらさせない。これが防衛の美学。
 嗚呼、防衛楽しいわぁ……。

 その後、戦場カメラマンをやっていた教官がフラッグに来たが、
 私の場所を発見出来なかった。
 ここから、「社長は潜伏能力が高い」の噂が飛び交い始める事になる。


 銃声が少なくなって来た頃。遠くから歓声。

 味方 「終了ー!」

 どうやら我がチームがフラッグをゲットしたらしい。
 よかったよかった。リベンジ完了である。

  


 

 もう時間は12時。予定では午前中にフラッグ戦を2,3戦やるつもりだったが、無理。
 バトルロイヤルを行い、死んだら昼飯とする事にした。

 ハンドガンのみの制約はあるが、今度は教官も武装して投入する。皆よ、恐れるがいい。

 吉村 「はい、次は辺境紳士さん。次は十六夜さんです。
      1,2,3,4,5,6,7,8,9, どうぞ!」

 名簿の順に、テンカウント数えて一人ずつ森へと入って行く。自分は最後だ。
 皆が入った後、森の入り口で、息を大きく吸い込んで。

 「戦闘ぉぉぉーー!!!!! 開始ぃぃぃぃぃーーーーー!!!!」
 「「「うぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!」」」

 雄たけびと同時に銃声。まさに戦場である。

  

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 先程の戦闘で理解した。むやみに動くのは良くない。

 特に自分は最後にフィールドに入った為、敵はすべて配置についた後だ。

 そういう訳で、入り口近くの竹薮に潜り込む。
 突撃するよりも息を殺して潜む。こういうのが自分には向いているらしい。

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 数分後。しぐ子の銃声が響く。

 敵兵 「うあ、ヒットー」

 警戒して歩く敵も、見つけられなければ私の的なのだ!(どーん)

 そんな調子で二人を撃破したあたりで、そろそろ動こうと考えた。
 生き残るつもりは無い。楽しむ為には、派手に死ななければならないのだ。

 竹薮から出た瞬間、一気に恐怖感に襲われる。
 自分同様、相手が知らない所から狙っているかもしれないのだ。

 しかも地面は折れた竹で埋まり、歩く度に大きな音を立てる。
 不利だが仕方があるまい。先に進んでいく。

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 竹薮。延々と竹薮である。

 そんな中を歩いていくと、人為的に倒された具合の隙間があった。
 覗くと、敵が逆方向を向いて銃を構えている。

 足音に気づいたのか、相手が振り向く。

 だが、私の方が若干早い。

 敵兵 「ヒットー!」

 ああびっくりした。倒せたはいいが、咄嗟に銃なんて撃てるものじゃないようだ。
 これで撃破3。
  

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 今度は小さい小道のような隙間を見つけた。
 そしてまた、逆方向に銃を構える敵が……って今度は気づかれた!!

 敵兵 「ヒットー!」

 吉村 「ヒットー!」

 相撃ち。撃破4である。
  

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 セフティエリアに戻ると、
 大半の兵士は既に戻り、試し撃ちやスコア記入やらでのんびりしていた。

 兵士 「社長、どうでしたー?」

 吉村 「撃破4でござる」

 兵士 「まじっすか!?」

 意外な驚きぶりにスコアボードを見ると、撃破4はトップの成績。

 同じ撃破4のKAMEREON氏と共に、1位タイとなりました。
 "すげぇすげぇ"と言われる私。思わず嬉しくなってしまう。

 空気は、読めない。

  

 てへっ。ポイントでも、30人中1位になっちゃった☆

    

  

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