製 作 裏 話 。
※
言うまでも無くネタバレ満載ですので、プレイ後にでもお読みください。
ゆきつぶ裏話
読んでもタメになるわけでもない、制作者のどうでもいい裏話ですよ。
更には以前の吉村作品を読んでいないと意味が分からない事ばかりです。
■「ゆきつぶ」へ行きつくまでの変遷
うっすら気が付いている人もいるかもしれませんが、当初、「ゆきつぶ」は「雲のない雨空の下で」の続編として書かれていました。
タイトルも公開間際まではずっと「色のない雪空の下で」でしたしね。
初期プロットは完成後とは大きく違っていましたが、
「好きな人のそばにいると雪が降る」という現象だけは一貫していました。
というよりは、これこそが物語の核だっただけなんですけどね。
雨女の雪版、と言ってしまえばそれまでの能力ですが、結構必死こいて考え付いたものだったような気がします。
ちなみに、これを考え付いて物語書こうと思ったのは、「雲空」作った年(2006年)の秋頃だった気がします。
「ゆきつぶ」のあとがきでも書きましたが、公開まで長い時間があったのですよ。
■「ゆきつぶ」初期プロット
初期プロットには演劇の”え”の字もありませんでした。
その時の主役は、「星空」の「神埼智也」、ヒロインは「宇奈月可奈」でした。
(ゆきつぶで宇奈月の名字が出たのは、ここに由来しています。あの宇奈月君は、うなうなの弟です。)
初期プロットでは、舞台は鎌倉ではなく、埼玉県の「大宮」です。
高校生の頃に大宮の予備校通っていたのですが、「雪の話」を考えたときにふと、その帰り道に雪が降った事を思い出したのですよ。
大宮駅の駅前に雪がうっすら降っていて、かなり綺麗だったのを覚えていました。
話の大筋としては「ゆきつぶ」と変わってはいなくて。
「星空」での事件が帰着したようで若干尾を引いているけど、学生なので受験勉強しなくちゃならんという頃。
たまたま予備校が一緒だった、うなうなとともやんがじんわりと仲良くなってく。
すると、2人でいると何故か雪が降るようになっていた。
それを感知した多奈さんが、二人に気付かれないように監視しつつ、何とかしなくちゃなぁ、ってな話でした。
明らかに、「雲空2」な話。「ゆきつぶ」の演劇分を抜いたような感じですね。
人によってはこの話の方がよかったんだろうなぁと思いつつ、あんな演劇話にしちゃいました。
ただまぁ、あの頃は積雪で街一個つぶそうとは思いつかなかったので、その部分は今の方がよかったかもしれません。
こんな初期プロットに演劇分を足した所、「ゆきつぶ」は出来あがりました。
■明峰穂波という存在
「ゆきつぶ」は、明峰穂波が不在であっても、
多奈さんに対峙するのが奈夏さんになるだけで、実は話が完結できたりします。
そういう意味では、自分の趣味とか好きな個所とかを出すために加えたキャラクターなのかもしれません、
と、作り終えた後でぼんやりと考えています。
この明峰穂波、初期コードネーム「花火娘」が出てくるまでには裏で色々変遷がありました。
まずは上で記載した「ゆきつぶ」の初期プロット。
多奈さんの助手役で登場させるという案で、この時はかなりのサブキャラ扱いでした。
2人そろって夜空を飛びながら、ともやんとうなうなのくっついたり離れたりを眺めるというキャラでした。
その「ゆきつぶ」を寝かした後で次に出てきたのは、「だるふぁいと!」の吉村版シナリオ内。
作ろうと途中まで書いて挫折した、吉村作品二次創作な「だるふぁいと!」ですが、
その作品内でのオリジナルキャラクターとして、「花火娘」がいました。
いつか書くかもしれないので詳細はぼかしますが、共通の敵役に対して、世話や保護するお姉ちゃん役でした。
もちろん、最後には遙さん等とバトルする…ってな予定でしたが、「だるふぁいと!」自体に挫折したので完全なお蔵入りです。
更にその次。
知る人だけ知っている、まだタイトルとぼんやりとした構想しかなく、次回作になる事はなさそうな妄想こと
「日替わり魔法使い探偵七久保一郎(32)のほぼ文庫本一冊に相当する言い訳」にて、出る予定でした。
さっぱりとプロットとして固まってない物体ですが、七久保さんの助手として「花火娘」が登場…って案がありました。
もし出ていれば、それはそれで何か面白い話になるのかもしれませんが、今のところは自分の妄想から出てきてません。
そんな変遷を経て、最終的に「ゆきつぶ」の主人公へのぼりつめたほなみん。
執筆を完全に完了した後も、ビジュアル的な部分はさっぱり詰まってなかったというのは秘密です。
楽煮さんにイラスト依頼する時になって初めて、「ぽにてで赤髪でちっちゃい」を固めた気がします。
なお、能力については「火花噴射」みたいな書き方をしていますが、
正確には「エネルギーの操作」だったりします。(けど、ほなみんは気付いてません)
「物理現象を突き詰めていくと方向と速度(エネルギー)の2つになる」みたいな話から、
じゃあ多奈さんと同じくらいの能力でいいよね、という形で行きついています。
……けれどまぁ、戦闘になれば圧倒的に多奈さん最強なんですけどね。
■伊勢崎多奈が出るまでに
多奈さんを出すかどうかは、結構悩んだところではありました。
「雲空」はかなり多くの方に楽しんでもらい、いい具合で完結はした話でもあったので、その続きは読者が想像で…という所でもいいんじゃないかと。
そこを作者が「これだ!」と出してしまうのは無粋かもしれないなぁと思う所も正直あります。
なので、「ゆきつぶ」は「雲空」の設定を引き継いだパラレルワールドという位置でも全然構わないと思っています。
「星空」と「雨後晴前」・「雲空」もパラレルでいいよなぁと思っています。有希さんが死んでない物語があってもいいとは思ってはいます。
(ここら辺の吉村作品内の時間軸やら世界の隔てっぷりは後で表にまとめたいなぁと思います。誰得ですが)
舞台が鎌倉になり、演劇がメインになるあたりで、物語の西暦も定まりました。
定まった結果、「星空」「雲空」は1996年の話であることから、「ゆきつぶ」の2007年には、多奈さんは20代後半という事に。
これも登場を悩んだのですが、逆に面白いなぁという思惑もありました。
あ、多奈さんが有希さんコートを着込んでいるのは、楽煮さんに依頼する時にふと思いついた案です。
意図的に物語上では一切触れず、「やってくれるぜ!」と思ってくれた人がいれば幸いです。
(とりあえず、地元の友人と楽煮さんが言ってくれたので成功ではあります)
■鈴掛奈夏
「ゆきつぶ」は明峰穂波が主人公、ヒロインが鈴掛奈夏。他がサブキャラです。
自分内の眼鏡熱が高まった結果、眼鏡っ娘ヒロインが誕生しました。
ビジュアルイメージは「天使のいない12月」の眼鏡ヒロインです。
(プレイしてないので名前も知りませんが、あれはいい眼鏡だと思います)
あとがきでも書いてはいますが、「ゆきつぶ」を作るにあたり、学生演劇を見に行っています。
その際に感じたことが分かりやすく反映されている本作ではありますが、
付き添ってもらった眼鏡な演劇娘さんこそが、鈴掛奈夏のベース(特に演劇に関する部分)になっています。
……というか、勝手になってしまいました、という感じです。
「男よりも女性の方が精神的に強い」という意志が無駄にちりばめられる吉村作品群。
最強が遠野有希であれば、次点は鈴掛奈夏だったりします。
「普段静かだけど意志は強い」ってのは物凄い好きだなぁ。
好きなものを好きと言い、それを確固として貫く意志があるってのは、超能力よりずっと強いものだと思うのです。
ゆきつぶ内かっこいいセリフ集を作るならば、半分が奈夏さんになるのだと思います。
あ、ちなみに夏の演劇練習中は後ろで髪を縛ってるという設定でした。
ラフ絵もあったりしますが、物語上「一番最初に奈夏さんが登場するシーン」である為、デフォルト値である髪型にあえて変更しているという裏話。
■演劇というもの
作品内で書きなぐりまくった感があるので、この場で書くようなことがありません。
あとがきで書いたとおり、描写のベースは自身の高校演劇経験と、学生演劇観劇です。
スポーツ系部活なら(特にレギュラー以外なら)サボりまくっても問題なく、別に自分へダメージが帰ってくる事もそんなに無いのだけれど。
演劇に関しては役を貰った以上はサボってしまえば、本番でセリフを言えなくなるという、
一切の妥協が無い、助けにも来てくれない、手を抜くこともできない部活なのだなぁと思っていました。
うーん、やっぱり、思いつくものは作品内で書きました。他あれば後で追記します。
■天気予報
ちーちゃんの一人二役天気予報。
ビジュアルが無いのでアレですが、「篠塚千里」と「緒方七穂(人形)」でやってました。
特に深い意図も何もありません。思いついたので、つい。
■ゆきつぶ エピソードゼロみたいな
書こうと思って挫折しているのですが、「なつ。ななつ、ななつ。」(夏。奈夏、七つ。)という、
本作の10年前のショートストーリーがあったりしました。
主人公は楠木遙さん。
大学生になり、車の運転免許をゲットした宇奈月可奈と、車で国府津駅付近の海に行った時に、七歳の奈夏さんと会う、といった話。
白ワンピースな奈夏さんが書ければ満足でした。満足したので話が続かず、お蔵入りになりました。
■ vs 蒼腕の魔女
雪を降らさぬようにあーだこーだした揚句、結局は雪に沈んだ鎌倉市。
どうしても避けられないのが、伊勢崎多奈とのバトルでした。
文章だけならばまぁまぁ何とかなりますが、ご存知の通り、ノベルゲームとアクションシーンの相性は最悪です。
静止した画面でのんびりと文章を眺め、心情表現を楽しみやすいのが文章というもの。
派手なアクションシーンは映像の方がずっといいに決まってます。
削除してしまうべきじゃないかとも思いました。けど、やっちゃいました。なるべく短く終わらせるようにしつつ。
朝に決闘な感じに落ち着ついたシーンでしたが、
一時期は演劇会場の屋根をぶち割って、多奈さんが奈夏さんを強奪する……なんて案もありました。
以後の物語が破綻するんで辞めましたが、それはそれで面白かったかもしれません。
なお、蒼腕の魔女はやっぱり主人公に勝てない宿命です。
ヘタな少年コミックの主人公よりずっと強いとは思うのですが、だからこそ勝てない宿命なのでした。
■名前の由来
各キャラクタの名前由来は、相変わらず適当です。
大体は北陸地方あるいは東急の駅名から拝借させてもらっています。
・明峰穂波 ⇒ 北陸本線:明峰(めいほう)駅
・鈴掛奈夏 ⇒ 東急田園都市線:すずかけ台駅
・栃屋つくし ⇒ 富山地方鉄道:栃屋駅、 東急田園都市線:つくし野駅(すずかけ台駅の隣)
・早月和美 ⇒ 富山地方鉄道:早月加積(はやつきかづみ)駅
・千垣俊介 ⇒ 富山地方鉄道:千垣駅
・宇奈月洋平 ⇒ 富山地方鉄道:宇奈月温泉駅
・伊勢崎多奈 ⇒ 両毛線:伊勢崎駅、 東急田園都市線:田奈駅
[おまけキャラ:演劇結果発表のみ登場]
・月岡直矢 ⇒ 羽越本線:月岡駅
・笹津博史 ⇒ 高山本線:笹津駅
・長浜千鶴 ⇒ 北陸本線:長浜駅
・神城由賀子 ⇒ 大糸戦:神城駅
[没キャラ:昔の紹介Flashのみ登場]
・鯖江ゆの ⇒ 北陸本線:鯖江駅
■鯖子という隠しキャラ
「ゆきつぶ」のメインキャスト内には、没キャラがいました。
それが、紹介Flash上でしか存在しない「鯖江ゆの」というキャラ。
当初、二年生で物腰柔らかなのんびり娘といった具合で存在していました。
第三幕を書いた辺りまでは、鯖子はちゃんと演劇部にいるキャラクターでした。
……が。演劇部の連中は何だか無駄に過激な連中が集まってしまっており、
かつ、のんびりモードは奈夏さんに奪われてしまった結果、尋常じゃない程に台詞がありませんでした。本当に一話一言程度でした。
「この際、台詞ゼロにしても楽しいのではないか」と思いましたが、存在意義がもはや微妙になってきたため、
断腸の思いで没キャラ指定としたという裏話です。
ほんのり書いていたサブストーリーでは、つくしの友人として登場する予定でした。
とはいえ、そのサブストーリーも潰れてしまい、陽の目を見る事ない、不遇なキャラクターとなるようです。
■部長
実は、部長の眼鏡は奈夏さんとお揃いです。(楽煮さんによる追加設定)
理由は色々考えられるので、妄想が膨らむので秘密です。
■早月さん
おそらく楽煮さん的に一番のお気に入りと思われる、何気に初の短髪女子キャラクター。
ざっくばらんで粋な設定ばかりでしたが、きっと部屋には可愛いぬいぐるみがあるに違いありません。
当初、かずみんは演劇部ではありませんでした。
「演劇部だったんだけど1年生の時に辞めて、山岳部を設立しちゃった。けど照明手伝うよ!」みたいな設定でしたが、
特に必要でもなんでもない設定だったので、闇に葬りました。
あ、今になって初期のキャラクタ設定テキストを読んだら、「高身長で巨乳」という記載がありましたが見なかった事にします。
■栃屋つくしことカイザー様
カイザー様のネタは紹介Flashのみです。
まったく生かされていないけれども、名門な剣道道場の娘です。
剣道大会で相当いい所にいくのですが、得意は手裏剣。菜箸でフライパン貫けるという無駄な裏設定です。
流派は香取神道流。元、千葉県出身。
しかしながら、やっぱり生かされないのが上記設定。
蒼腕の魔女と戦うのは彼女の方がよかったのかもしれません。
他にもきっと色々あったのですが、作り終わったら殆ど忘れてしまいました。
何か思い出したら追記するかもしれません。
Create by Mayuki
Yoshimura & Rakuni
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