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 Normalize Human Communication 携帯アプリ向け追記について       _

以下が追記シナリオとして収録されています。詳細は後述。

 【本編シナリオ】

  榎町鈴乃生存ルート : 花塚山のモルゲンロート

 【おまけシナリオ】

  1. Chapter 0. 零回頻度のナースコール
  2. Chapter 2'. 午前三時のバレンタイン(事故)
  3. Chapter e.g. Normalize Human Communication

   

 追記自体についてあれこれ(主に原作好きな人向け)              _

「のまひゅ」は、榎町鈴乃が死ぬことにより完結する物語です。
分岐は無く、ただその話が進み、終わるだけであっても、物語に不足はありません。

そう言う部分もあり、追記、それも『榎町鈴乃生存ルート』という物語の根底を覆す追記に対して、思う所がある方もいるかと思っています。
吉村麻之自身もテンクロスさんに依頼を受けるまでは、追記する事はさっぱりと考えていませんでした。

あくまでも、この『生存ルート』は『選択肢を選んだ先にあったかもしれない可能性上の未来』の一つであるというスタンスを、
執筆した者ととして、ここで明確に提言しておこうと思います。
「のまひゅ」はあくまでも、榎町鈴乃が死ぬ事により完結する物語であることは、揺らぐ事はありません。

そんな具合で、「もしもの話」として気楽に受け止めてくれればいいなと思って書きました。
とはいえ、だからと言って適当に書いたわけではありません。
本作が「死ぬ話」である以上、「死ななくする」為にロジックを崩していくのは色々大変で、楽しくもありました。

可能性上の未来。こんな、あったかもしれない結末。楽しんでもらえればと思います。

 
……あ。それでも、「死ななかったよ良かったね、はい終了」と、素直にハッピーエンドにならない事は、
”執筆:吉村麻之”である以上、避けれない事でした。 ある意味、これが一番硬いロジックなのかもしれません。

   

 榎町鈴乃生存ルート(花塚山のモルゲンロート)                _

撮影会を終えて、何も変わらなかった。何故ならば、何も起きなかったからだ。
人はそれを停滞と見るかもしれない。それでも当事者は、その平凡で平凡たる日々の価値が決して安くはない事を知っていた。

全ては、何も無かった事になった。

自分達はそれを、奇跡と呼んだ。

                                              ――Chapter 4 六時間前のハッピーニュース
  

「榎町鈴乃が死なない」

そんな、一握の奇跡の物語。あったかもしれない、可能性上の未来の物語です。

本編(死亡ルート)を1度クリアすると、二週目以降からは選択肢が発生。
本編と事なるルートを辿ると、このルートに入ります。


長屋智恵における榎町鈴乃という存在は、憧れであり、疑問であり、そして……友人だった。
少なくとも、私はそう思っている。……彼女がそう思っていたかは、分からないのだけれども。
                                             ――Chapter 3-2 五億粒子のホワイトノイズ

折角だしと言う事で、本編で語られない些細な物語がちまちま展開します。
傍観者は傍観者のままですが、思い出話だけは聞けたりします。


孤独の山は酷く寂しく、寒く、心細い。気を抜けば命を失う世界は、美しい故の恐怖を内包していた。
その感想は、過去に鈴乃と見た宇宙に似ている。
そして自分は、暖かい世界から一歩ずつ着実に離れていく。それも、自らの足で。

                                             ――Chapter 3-2 五億粒子のホワイトノイズ

佐古さん、何してるんですかね。

なお、「モルゲンロート」とは、山の朝焼けの事を言います。


誰も悪い人なんていなかった。私の幸福を望んでいる人がいた。私の為に泣いてくれる、優しい人が沢山いた。
そして私も、頑張った。
だから、報われていい。世界はそんなに残酷じゃ無くて、いい。
報われない未来だらけの中に、一握の光がある世界があっても、いい。
この一秒先、十秒先、一年先の未来に、私の足跡を残せる事を、望んでいい。願っていい。実行していい。
それは、希望。最後の最後まで残り続けた、微かなもの。縋り続けたもの。
                                              ――Chapter 4 六時間前のハッピーニュース

   

 Chapter 0.零回頻度のナースコール                    _

その頃はまだ、私はヘタな関西弁を喋っていなかったし、未来を楽観していた。
これからの話は、私、榎町鈴乃の短い思い出の一つ。
未来への諦観と下手な関西弁を獲得し、本宮千江美(ほんみやちえみ)を失うまでの……あまり楽しくない話になると、思う。

本編の起点。榎町鈴乃が、佐古慎平と会う前のささやかで短い物語。
内容は上のラフテキストの通りです。

新キャラかと思いきや、本編上でも日記では存在していた、本宮千江美という女の子が出てきます。
のまひゅ裏話でも少しだけ書かれていますけどね。

   

 Chapter 2'.午前三時のバレンタイン(事故)                 _

「奇跡って、起きてくれないものねぇ……」
壁に寄りかかり、乾いた笑いがこぼれた。見上げてもただの天井があるだけだった。
理解していた。伊野塚初佳は、不器用だ。
何故作るのかとか、何故渡すとかは、考える必要が無くなってきた。その選択肢を得る前に、私は墜落していた。

コメディです。肩の力を抜いて、「初佳さんかわいいよ初佳さん」と言いながら横転するのがベターです。
佐古さんが毎年、チョコレートを貰えない理由と、今年こそは貰えそうだったんだけどね、という、裏話。

決して、逆上して佐古さんにアイスピックを突き刺す話ではありませんので、その期待をされた方にはスイマセン。

   

 Chapter e.g. Normalize Human Communication              _

奇跡の後の5月5日。佐古慎平は、本日をもってアルバイトを終了する。

「榎町鈴乃生存ルート」の先にある、実に「吉村麻之シナリオ」らしいギミック。

既に前述しましたが、おまけシナリオとして書いたものの、本編に組み込まれるそうです。
なので、読み手としては、生存ルートに紛れ込んで何がこれを指していたのかは分からないかもしれません。

…と聞いてたんですが、結局おまけシナリオ3番目として出てくるそうです。

本作のタイトルのそのままサブタイトルにするのは、大概にして感動的なラストシーンが相場ではありますが、
果たしてこのシナリオはそうなっているのかどうかは不明です。

どんな話かと言えば、一行目の通り、アルバイトを終わらせる話です。それだけであり、それ以上でもなく。

行数にして250行以下。短いのに、書くのは相当大変だったとか、そんな裏話もあったりししつつ。


被写体は半歩離れる。

「……勘違いしたら駄目だよ、佐古さん」